■ペレットストーブの選び方2■
ペレットストーブでも様々なタイプがあります。安くない買い物ですのでデザインだけではなく機能や構造を知ってご自分のライフスタイル、価値観を共有できるペレットストーブを見つけて下さい。ここに書かれている事が全て正しいとは限りませんが目安としてペレットストーブを購入する前に覚えておいて頂けると幸いです。
ペレットストーブの価格については商品ページを参照下さい。
<良いペレットストーブの条件>
ユーロストーブが考える良いペレットストーブの条件は次の通りです。
■FE式である。
■燃焼皿、燃焼室周りが鋳物で作られている。
■内部構造がシンプルでメンテナンスしやすい。
■故障しない。
ペレットストーブにおいて上記はどの様な違いがあるのか理解すると選ぶべきペレットストーブを見つけられるはずです。今からご説明いたします。
また同様の説明が出来る販売代理店から購入されることをお勧めいたします。尚、商品及び部品には必ずメリット、デメリットがございます。デメリットも説明するのが良い販売店です。
近年はペレット統一規格をはじめ、ヨーロッパのEN規格が世界の統一規格となりました。
テルモロッシのペレットストーブ全機種EN規格に適合しており公的検査機関TUVの認証も受けております。今後はこの様な世界基準の認証を持つメーカーからの購入も一つの条件と言えるでしょう。購入前に公的証明書を確認して下さい。
また、テルモロッシは自社工場にTUVと同じ検査機器を揃えて製品開発時に性能試験を行っております。
同じイタリア製でもCOの排出量など差があります。ヨーロッパの規格内でもこのように差があるのは燃焼システムのバランスに差があるからです。この差を比較したらメーカーの真の技術力を見極める事が出来ます。自動車でも排ガスや燃費を偽造する大手メーカーがありますが、今後皆様が検査値に注目するようになるとペレットストーブ業界も同じような偽装するメーカーがあるかも知れません。国産ではこの様な表示が行われていませんので、技術的にはまだまだと思われます。そろそろ気付き始めたころですかね。
新たな選び方のポイントの一つとなりますね。
詳しいデータは各商品ページにダウンロード出来る様にしてありますのでご覧下さい。
今後は下記についてもご注目下さい。
■排気CO(一酸化炭素濃度)
■排気温度
公的機関で認証されたCO濃度を比べると最適な燃焼バランスほど低い値となり、技術力の高さが伺えます。
排気温度は定格出力で160~200℃が一般的です。高すぎる場合は熱を無駄に排出している証拠で熱交換が上手にされていない推定原因になります。逆に低い場合は元々の出力がストーブにマッチしていない事が推定されます。但し、熱交換効率が良いと排気温度は下がります。効率は良いストーブですが排気管が結露しやすいので断熱二重管での施工が必要です。
<ペレットストーブの種類>
●ペレットストーブの給排気方式による違い
ペレットストーブは様々な構造がありますが、ここでは給排気システムでご説明いたします。
なぜユーロストーブは「FE式が良い」と言うのか? ペレットストーブには主にFF式、FE式、CF式の3タイプが主流です。簡単にその特徴は次の通りです。
■FE式とは強制排気システムの燃焼機器で半密閉状態のシステムです。左図の様に燃焼空気は室内の空気を使用し、排気はファンを使い屋外へ排出します。
またペレットタンクの蓋、前面ガラス、着火ヒーター周りから一次・二次燃焼空気を取り入れています。
現在海外製のペレットストーブはほとんどがこのFE式です。但し近年FF式(密閉式)ストーブがぞくぞく発売されています。(2017年現在)
■FF式とは強制給排気システムの事です。燃焼室は室内と完全に区切られていている密閉式のシステムです。燃焼空気は屋外からのみ取り入れます。石油ファンヒーターなどに多く見られ国産のペレットストーブの多いシステムです。室内の気圧(負圧)に左右されないので高気密住宅で好まれるシステムです。但し密閉度が低いと思わぬ事故になります。
JIS S 2031:2009における石油ストーブに対する基準は
漏れ量が燃料消費量1.16KW当たり0.5m3/h以下と規定されているのでこの基準を目安にすると良いでしょう。
気密性の試験はJIS S 3031:2009にて機器の給排気用送風機を運転した状態で給排気部から圧力100 Pa の空気を送り,機器本体から漏れる空気の量を測定する。
また燃焼中の試験はJIS S 3031 の 44.1項による試験が必要です。
■CF式とは一般的に薪ストーブ同様自然給排気システムのことです。ペレットストーブでも採用しているメーカーもあります。モーター等の電機部品を使用しないので非常にエコですが、ストーブ本体は低価格でも煙突の立ち上げ及びメンテナンスによる設置費、維持費が他の排気方式より高くなってしまいます。トータルでご検討下さい。
●なぜユーロストーブはFE式のペレットストーブを勧めるのか?
FE式が世界で選ばれているのは木を燃やす原理に忠実だからです。木を燃やすには熱を与えて木の中の炭化水素を気化させます。そこへ酸素を供給することで燃焼します。通常の木材は260℃ぐらいで蒸気を発生し約600℃で気化した炭化水素と酸素で燃焼を始めます。ペレットは含水率が低いので薪よりも短時間で燃え始めます。従って着火に.要するエネルギーも少なくて済みます。この原理が分かっていると簡単です。FF式は屋外の冷たい(零下)空気を使います。当然高温にするには大容量のエネルギー(着火ヒーター)が必要です。FF式のペレットストーブに着火時のトラブルが多いのはこの原理に逆らっているからです。近年このトラブルを回避するために手動での着火方式に変えた国産メーカーもあります。それほどFF式には着火トラブルが多かったのが推定できます。また別のメーカーは直接ペレットに火を着けるセラミックヒーターの開発に励んでいる国産メーカーもあります。オーストアのカリマックスは早くからこのヒーターを開発・採用しています。また、国産、海外製のストーブにおいても近年セラミックヒーターが増えて来ています。FE式なら電力の消費も少なく着火のトラブルはお手入れ不足以外は皆無と言っていいでしょう。
国産のペレットストーブの中でFF式として販売されているペレットストーブの最大の問題は本当のFF式ではないとゆう事です。(ごく一部はFF式のものがございます。)
繰り返しになりますがFF式とはガスや石油暖房機用に開発された吸排気システムで完全に燃焼部と室内を遮断する必要があります。現在の多くの国産のFF式ペレットストーブは「FFタイプの吸排気筒を使用したFE式」と言って良いでしょう。半密閉式FFなどと規定する動きもありますがFFとは完全密閉式でなければFF式とは呼べません。
少なくとも密閉度がどのくらいか数値を表記していないメーカーのペレットストーブを購入の際は確認されることをお勧めします。
●FE式のペレットストーブの第2の利点
FE式は二次燃焼空気を取り入れるのに最適です。一次燃焼で燃え残ったペレットの気化ガスへ更に二次燃焼用の空気を供給する事により完全燃焼に近づきます。
テルモロッシはこの二次燃焼空気をドアガラス、ペットタンク(ペレット投下口)から取り入れています。
■テルモロッシのペレットストーブのドアガラスには2次燃焼空気を取り入れる隙間があります。左写真の上下にシールがありません。(ET1000は上部のみ)ペレットはより完全燃焼に近づきます。何よりこの隙間はエアーカーテンとなりガラスが煤で汚れるのを防止します。テルモロッシのガラスが曇りにくいのはFE式だからです。
近年ではFF式でもエアーカーテンが施されている機種も発売されています。
左の写真はエコサーモ1000のドアです。ガラスとドアの間ですが上側だけシールされていません。
ET1000の場合は左のようにコピー用紙が入る隙間があります。ここから2次燃焼空気を取り入れると同時にエアーカーテンとなりガラスが汚れにくくなっております。
ET1000は1か所のみです。
ET3000,3001の場合は左のように上下2か所で2次燃焼空気を取り入れています。
FE式のペレットストーブには上記のような工夫が施されております。もしFF式のペレットストーブでこの様な隙間を設けている場合はFF式とは言えませんのでご注意下さい。
こちらの隙間はストーブ全体の燃焼空気量(排気ファンの回転数など)を考えて設けられております。隙間が大きい程良いという訳ではございませんので誤解のないようにして下さい。隙間は多少の調整が可能です。ドアガラスを固定しているネジの締め具合を調整します。またこちらにホコリなどが詰まっていると取り入れ空気が少なくなりガラスが汚れやすくなる場合がございます。
※FF式でも構造次第でエアーカーテンのシステムは可能です。
●FF式の問題点
ペレットストーブにおいてFF式のペレットストーブは完全に燃焼室を密封しなければ大事故につながります。燃焼室には着火ヒーター、ペレットタンク、灰受け等とつながっています。またヒーターにはコードがつながっており、これらを完全にシールするには二重三重の部品構成で密閉しなくてはなりません。ひとたび部品交換などの必要があると分解、組み立てが複雑で工数が掛かります。中にはFF式と言いながら不完全なFF式のペレットストーブメーカーが多数あります。FF式をご購入の際はこの点がしっかりしているペレットストーブをお選び下さい。以上をクリアしているFF式ペレットストーブは非常に日本に合った素晴らしいペレットストーブと言えるでしょう。
ご注意:最近増えているのがFE式ストーブなのに「給気管を屋外へ設置することでFFになります。」なんてカタログで表記しているメーカーが見られます。知識がないのか?分かりませんが、よく確認して下さい。
●ペレットストーブのマンションへの設置
ペレットストーブをマンションでへ設置したい場合は下記問題をクリアすることが大事です。
■匂いや多少の煙は発生します。管理組合、隣近所(上下階も)の理解、許可を取ることをお勧めします。
■気密性が高いのでFF式じゃないとダメだと思わないで下さい。日本製のFF式ペレットストーブは、ほとんどが半密閉式という訳のわからないFFタイプです。従って台所の換気扇を回すと不完全燃焼を起こす場合がありますので、ストーブの密閉度、室内の負圧レベルを確認して下さい。しかしながらマンションは特に気密性が高く、負圧対策が不十分な物件が殆どですので
FE式のペレットストーブを設置する場合は慎重にご確認下さい。
■台所の換気扇を回してペレットストーブを設置しようとする部屋の窓を少しだけ開けてみて下さい。開けるのが重かったり、風が音をなして吹き込むようですとかなりの負圧です。通気口を追加して着火時などは換気扇を止めて下さい。この様な状況ですとFE式のペレットストーブの設置はかなり厳しい状況と言えます。
●換気システムについて
換気システムには3種類あります。
■第一種換気システム
強制排気、強制給気
■第二種換気システム
自然排気、強制給気
■第三種換気システム
強制排気、自然給気
※第三種換気システムの部屋にペレットストーブを設置する場合は室内が負圧ならないようにしなければなりません。
●FF式は必要か?
現段階では超高気密住宅や第三種換気システムにて室内が負圧になる場合はFF式が有効になります。しかしながら換気システムや排気システムを見直すだけで高気密住宅でもFE式のペレットストーブは設置できます。詳細は排気システムのページを参照下さい。
高気密住宅への設置については下記参照下さい。
しかしながら高気密住宅と言うだけで、FF式を求める設計士さん工務店さんは多くいらっしゃいます。特に関東から中部地方において多い傾向がございます。
一方でFF式のもう一つの利点として排気ファンが停電で止まった時、燃焼中のペレットの火がFE式よりも早く消火します。これはペレットタンク蓋が密閉されているためで、引火の危険も少なくなります。
<ペレットストーブの構造>
ペレットストーブの構造についてご説明いたします。
下記はエコサーモ8000の構造ですがペレットストーブの場合、エコサーモに限らず構造自体はほぼ同じです。
●ペレットストーブ燃焼室
ペレットストーブの燃焼室の違いは燃焼室壁の材質に特徴が現れます。テルモロッシのエコサーモの場合はエコサーモ1000、3001クラスは鋼板、エコサーモ6000以上の機種には鋳物が使われています。国産のペレットストーブはステンレスの板金が使われているのが多く見受けられます。オーストリアのカリマックスの様にバーミュキュライトという反射断熱材を使用しているものもあります。それぞれの特徴は次の通りです。
■ステンレス鋼板
ステンレスは錆びにくく輻射熱を多く拡散出来ます。また鉄に比べて薄肉で作られる事が多くストーブの軽量化には便利です。
<欠点>厚肉のステンレス鋼板は曲げ加工などが難しいため、ほとんどのストーブは薄肉で軽量化されています。これにより火力による歪みが発生しやすくなります。またステンレスは熱伝導率が悪く、蓄熱量も少ないので火を消した途端に暖房機能は極端に低下するデメリットがあります。
■反射タイル
耐熱レンガと違い断熱性がありますので
熱を吸収せずに反射します。
数年で劣化しますので定期的に交換が必要となります。また錆ないので燃焼室がキレイに保たれるのは大きなメリットです。
●ペレットストーブの燃焼皿
ペレットストーブの燃焼皿は燃焼室と同様に材質により主に2種類に分類されます。
<鋳物製>
左の写真はテルモロッシ・エコサーモ6000、8000の鋳物の燃焼皿です。鋳物は厚肉で熱に強く耐久性に優れています。一度熱くなるとその保熱力により少ないペレットでもおき火替わりになります。従ってペレットが落ちると同時に火がつきます。その反面冷たい外気にさらされる様な環境に置かれている場合、鋳物自体が冷たくなっており着火ヒーターの熱を奪ってしまい着火が遅れやすいという欠点・デメリットがあります。
<ストーブの熱効率>
皆さんは熱効率という言葉をお聞きになったり、カタログの中に書かれているのをご覧になられた事があると思います。ペレットストーブ、ペレットボイラー、薪ストーブをはじめさまざまな燃焼機器に用いられる言葉です。ヨーロッパでは設計値だけではなく実際に設計値通りの仕様になっているか認証(実機テスト)をうけるのが当たり前となっておりテルモロッシのペレットストーブも認証を受けております。それに対して日本では試験方法等の規格が未整備で公表されている仕様値(熱効率)には裏付けが無い物がほとんどです。
左の図は燃焼効率の概略説明図です。オレンジが燃焼による出力、青は熱損失を示します。
言葉の通り燃焼効率はペレットが持つ燃焼エネルギーを100%とした時、実際のストーブで燃焼させた時の変換率を示したものです。100%に近いほど完全燃焼に近いと言えます。テルモロッシのエコサーモの燃焼効率は下記熱損失を考慮した数値です。
■排気による損失(イラスト④)
■排気管に奪われる熱損失(イラスト⑤)
■燃焼皿に残った燃え残り
テルモロッシのカタログ値は認証テストにより間違い無い事が証明されています。
<ペレットストーブの暖房面積>
ペレットストーブをお買い求めの際は設置するお部屋の広さとストーブの暖房可能面積を検討する必要があります。ペレットストーブのカタログ表記は出力から換算したメーカー設計値です。また難しいのは部屋の断熱システムや吹き抜け、階段などがある場合には極端に変わりますのであくまで目安として余裕のあるストーブをお買い求めになる事をお勧めします。テルモロッシのエコサーモの場合の目安は経験上次を目安にご検討下さい。
■一般木造住宅の場合
暖房可能面積の1/2程度(エコサーモ1000の場合約16畳)
■コンクリートまたは高気密住宅の場合
暖房可能面積の2/3程度(エコサーモ1000の場合約22畳)
※上記はあくまで目安です。
現在ペレットクラブさんが中心になってペレットストーブの規格認証委員会にて統一規格を制定しております。これは各ペレットストーブメーカーが表示している暖房目安に根拠がなかった為、弊社が提唱したものです。今後は下記を基準に表示したいと思います。
<暖房目安を畳数で表記する場合>
畳数=1000×P/A
A:適室基準値(W/畳)
木造戸建て住宅:398
コンクリート集合住宅:288 ※日本ガス石油機器工業会自主基準を流用
P:各社表示の暖房出力(KW)
上記で計算するとエコサーモ1000の場合
■一般木造住宅の場合:17.6畳
■コンクリートまたは高気密住宅の場合:24.3畳
となります。
弊社が以前から申し上げている目安とほぼ同じです。
<ペレットストーブの機能>
ペレットストーブの機能はメーカーにより様々です。イタリアのテルモロッシの場合はヨーロッパの規格をクリアしておりますので品質と機能は世界標準以上と言って良いと思います。国産ペレットストーブの機能・構造と比較してみて下さい。
<ペレットストーブのランニングコスト・燃費>
テルモロッシのペレットストーブのランニングコストとしてはペレット代と電気代になります。
電気代は通常運転時は65W~70W程度です。
全国平均の電気料金を1KWh=22円程度ですので
70Wを1日8時間、30日(1か月)使用するとして1か月の電気代は約370円となります。
ペレット代は現在1kg=45円~60円といったところです。
テルモロッシのペレットストーブの場合エコサーモ1000クラスでペレットの使用量は
1時間約1kgです。上記と同じように考えると1日8時間で30日使用すると60円のペレット場合は1か月14,400円という計算になります。
しかしほとんどの家庭では1日8時間も使用しないのが現実です。
長野県のペレットメーカーに確認したところ1シーズンで約1トンが平均使用量だそうです。
ペレット代は1シーズン45,000円~60,000円となります。
石油ファンヒーターや石油セントラルヒーティングごご利用の場合はほぼ同額またはそれ以上の灯油代が掛かっていると思います。
<ペレットストーブの購入先の選定>
ペレットストーブの購入は信頼のおける業者から購入、設置をお願いします。テルモロッシの場合はエコサーモフレンズ(代理店)へお問い合わせ下さい。
エコサーモフレンズは他社のペレットストーブの取り扱っております。是非、聞き比べて見てください。
■まずは輸入元またはメーカーへ直接問い合わせ
ペレットストーブをご検討でしたらまずは輸入元またはメーカーへ直接問い合わせてみましょう。信頼のおける代理店を紹介するはずです。また輸入元が近くなら直接施工出来るか合わせてお尋ね下さい。
■実際にペレットストーブを見ましょう
実際に店頭に展示してあるお店はそのストーブをメーカーから購入しています。と言う事はそのお店はストーブを売ることに真剣です。またお店にはなくても輸入元や施工事例など拝見できる業者であればしっかりした業者です。カタログだけの営業で施工も請け負い業者を使う様なお店は避けた方がよろしいでしょう。