■ペレットストーブの燃焼室負圧レベル
テルモロッシのペレットストーブは燃焼室の負圧レベルを-10Pa以上を確保しないと負圧センサーが働きエラーとなります。(消火モードになります。)実際の燃焼室の負圧レベルはどの程度か測定した事が無かったのでエコサーモ3001で測定してみました。
ちなみに煙突は繋いでいませんので排気ファン排気口は開放状態です。(排気管抵抗がゼロの状態)また、実際に火はつけていないでの温度による圧力の影響は無視しております。
■測定概要
負圧センサーの圧力検知チューブを利用して負圧を測定しました。
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■着火モード
着火モードの時は排気ファンは最低レベルとなります。この時燃焼室は-79Pa前後でした。
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■排気ファンMAX(消火モード)
エコサーモ3001の場合、火力MAXと消火モードの際の排気ファンの回転数は同等レベルで仕様上のMAXとなります。この時の燃焼室の負圧レベルは-124Pa前後でした。
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■考察
今回テストをしたのは今まで燃焼室の負圧レベルを測定した事がなく勉強のためにテストしました。ちなみに今回は煙突は繋いでいないため排気抵抗が無い状態です。煙突を繋ぐと上記値より10~20Pa落ちると思います。
掌で軽く排気口を塞いでも(少し隙間がある状態)-30Pa程度でした。EN規格でストーブの性能評価の際、煙突のドラフト圧を12Paにする必要があるのですが、ストーブの排気ファンに比べると小さな圧力である事を考えると単純に煙突内の抵抗を同一条件にしてストーブの性能評価をする為と思われ、上記ドラフト圧がストーブの性能評価へ与える影響はほどんど無いと思われます。
機会があれば実際に煙突を繋ぎ、燃焼させた状態で燃焼室、排気ファン直後、煙突中央部、排気口手前等想定できれば排気経路の圧力分布が良くわかるかと思います。
今回の測定はほんの一部の簡易的な参考データです。重要なデータではありませんでした。最終的にストーブの評価をするのは燃焼効率やCO排出量など取扱説明書に記載されている性能証明書の数値になります。実際に設置後にこの様なデータを取ってパラメーター調整をして最適な燃焼を目指す事は不可能ではありませんが、給排気経路、ペレット燃料、気象状況など様々な要因で日々燃焼条件が変わります。細かい調整が意味があるのでしょうか?ペレットの長さ一つとってもバラバラですので。
大切なのは数値や設定よりも良い炎・良い燃焼をユーザー自身が理解する事です。同様にさらに大事なことはストーブが何かおかしいと思う炎を知る事です。パラメーターを調整しても燃焼条件は他の要因で変わります。炎を今一度見つめ直して下さい。
■追加テスト
上記の測定は負圧センサーの圧力検出ポートを使って測定しましたが、このポートは排気ファン直前の仕切られた小部屋に設けられていますので実際の燃焼室の負圧ではありません。
そこで実際の燃焼室、また吸気口とどの程度の差があるのか確認しました。
■吸気口
■着火モード
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■排気ファンMAX
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■燃焼皿下
■着火モード
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■排気ファンMAX
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■燃焼皿上
実際にペレットが燃焼する位置です。
■着火モード
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■排気ファンMAX
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■ドアオープン(おまけ)
最後に燃焼室ドアを開放して測定しました。当然の様に負圧は解消され負圧センサーは作動する10Pa以下になります。但し負圧センサーの圧力測定ポートは燃焼室ではなく、排気ファン手前の少し仕切られた小部屋に設けられていますので今度測定してみます。
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■考察
実際のストーブ内の圧力(負圧)レベルは測定位置によって違う事がわかります。排気管を接続すと排気管抵抗があるので多少圧力差は小さくなると思います。
テルモロッシには有りませんが、他社のペレットストーブには燃焼状態に合わせて自動的に排気ファンの回転数を制御するモデルがあります。その多くはオリフィスの差圧を空気量に換算して制御しているもと思われます。
上記テストからオリフィスの最適な検知場所は出来るだけ燃焼皿に近い吸気側が適正かと思います。もっと良いのは燃焼室の酸素濃度を想定する方法ですが小型の燃焼機器あるペレットストーブにおいては無意味です。
何故かと言うと供給されるペレットの長さが不均一ですので常に必要とされる酸素量が刻々と変わるからです。酸素量が多すぎても駄目なんです。炭化水素が多く排出されるので、排気温度が下がり凝縮すると木タールや木酢となり煙道内に堆積して煙突火災の原因となります。当然酸素が少なすぎても同じです。
この事より排気ファンの自動制御は煙突の抵抗、設置環境の負圧レベルを考慮して、一定の空気量を取り込む制御がベストです。それは空気不足(不完全燃焼)をさせない程度の機能とお考え下さい。木質ペレットを使用する限りガソリンエンジンの電子制御のようにはいかないのです。